• COLUMN

部位の特徴について – 前編 – Porkology vol.3

部位の特徴について – 前編 –

豚肉に関するさまざまな情報を、管理栄養士の視点からご紹介する「Porkology」。第3~4回目では、豚肉の部位について解説します。

部位ごとに差は見られるものの、豚肉は牛肉ほど肉質に大きな差がありません。そのため、幅広い料理に使えるポテンシャルの高さが魅力です。
とはいえ、それそれに異なる特徴があり、向いている料理が違うのも事実。部位の理解を深めることで、豚肉をもっと上手に活用できるでしょう。

今回は豚肉のなかでもオーソドックスなロース、ヒレ、バラ、モモ、肩ロースに焦点を当てて、それぞれの特徴を見ていきたいと思います。

各部位の味わいや肉質などの特徴や、その部位を使うとよりおいしくなるメニューをご紹介するので、豚肉をもっとおいしく食べたい方や献立に悩んでいる方は必見ですよ!!

ロース

とんかつ

ロースは、豚の胸から背中にかけての背中側のお肉です。主要な部位のひとつで人気も高く、豚肉のなかで最も好きだと評価する方も多くいます。赤身と脂身のバランスが取れているため、肉質はキメが細かく柔らかい一方、適度な噛みごたえも楽しめるのが特徴。三大栄養素のひとつであるたんぱく質が豊富で、筋肉や皮膚、髪の毛などを形づくり、健やかな体の維持につながります。
ロースは赤身だけでなく脂身にもうま味が凝縮されているため、脂身を取り除きすぎず、活かすレシピに向いています。
ロースを調理するときには、焼きすぎに注意。焼きすぎてしまうと、せっかくの柔らかい肉質が固くなってしまいます。筋を切ってから加熱調理することで固くなりにくくなるので、調理前に一手間加えてみましょう。

  • 脂身と赤身のバランス◎
  • キメ細かく柔らかな肉質
  • 豊富なたんぱく質
POPULAR RECIPES
生姜焼きやとんかつ、ポークソテーなど様々な料理に適しています。日本ではハムとして加工されることも多く、ロースハムは高い人気を誇ります。
使用レシピ

ヒレ

ヒレステーキ

ヒレはロースの内側に左右1本ずつあるお肉で、1頭からたった2本しか取ることのできない部位です。豚肉全体に占める合は2%しかなく、希少性が高いことから値段はやや高め。しかし、豚肉の部位としては最も肉質が柔らかいとされ、脂が少なくあっさりとした上質な味わいが特徴です。
また、特に優れた栄養素が含まれており、疲労回復のビタミンといわれるビタミンB1や全身に酸素を運ぶはたらきのある鉄分、亜鉛などのミネラルが豊富。健康のために栄養をたっぷり摂りたいときは、豚肉のなかでもヒレ肉を積極的に選んでみましょう。
さらに、カロリーや糖質が低いため、ヘルシーに食べたいときにも大活躍。油を使わずに焼けば、ダイエット中でも脂質の摂りすぎを防ぎながらお肉を食べられます。その一方で、油との相性が良い部位でもあります。ジューシーさを加えたいのであれば、油を使うレシピに取り入れてみましょう。

  • 脂が少なくあっさり
  • ビタミンB1、鉄分、亜鉛が豊富
POPULAR RECIPES
ヒレカツやステーキに向いています。油を使わずに焼き、ヘルシーに食べても◎
使用レシピ

バラ

角煮

バラは豚のお腹の部分、あばら骨の周囲にあるお肉です。赤身と脂身が三層に重なっていることから、三枚肉と呼ばれることもあります。脂身の割合が多いため、豚肉の脂の旨味を存分に感じたい方におすすめ。手頃な価格で購入できることもあり、人気の部位です。
バラは脂が多いため、加熱してもパサつきにくいという特徴があります。圧力をかけて調理をしたり長時間じっくり煮込んだりすることで、ジューシーな豚肉料理を楽しめます。
脂はバラの大きな魅力ですが、ダイエット中でできるだけヘルシーな料理を食べたい方は脂の多さが気になることもあるでしょう。しかし、バラに含まれている脂にはオレイン酸が豊富です。オレイン酸はほかの油に比べ、活性酸素の攻撃を抑える抗酸化作用が高いため、がんや動脈硬化、心筋梗塞といった疾患に予防効果が期待できます。北海道産ブランド豚”ゆめの大地”にもオレイン酸は豊富に含まれているので、良質な油を摂取したいときにおすすめです。
さらにバラにはコラーゲンも豊富に含まれており、美容効果も期待できます。脂質の過剰摂取を避けたい方は、ゆでて適度に脂を落とすなどの工夫をしてみましょう。

  • パサつきにくくジューシー
  • オレイン酸やコラーゲンが豊富
POPULAR RECIPES
柔らかい肉質が特徴で、しゃぶしゃぶ、角煮、焼豚などに適した部位です。ベーコンに加工されることもあります。
使用レシピ

モモ

しゃぶしゃぶ

豚のお尻から後ろ足付け根にかけての部分にあたるモモ。大きな筋肉の塊であり、よく動く部位なので肉質がしっかりと締まっているのが特徴。脂が少なく赤身が多いため、きめ細かく柔らかな肉質を感じられます。脂質が気になる方も、あっさりとした上品な味わいの豚肉料理を楽しめるでしょう。
モモは脂身が少ないからこそ、高温で加熱するとパサつきやすいという特徴があります。薄切りにして、短時間で十分火が通るように調理するのがおすすめ。また、低温でじっくりと時間をかけて加熱する料理にも向いているでしょう。
モモは脂質が少ない分、たんぱく質を効率よく摂れる部位ですが、実は鉄分も含まれています。鉄分は赤血球を作るために欠かせない栄養素であり、お肉に含まれるヘム鉄は吸収効率が高いため、鉄不足に悩んでいる方は日々の献立に豚のモモ肉を取り入れてみてください。

  • 赤身が多く上品な味わい
  • あっさりした味で幅広い味付けを楽しめる
  • 鉄分が豊富
POPULAR RECIPES
しゃぶしゃぶや炒め物などで薄切りにして調理すると、パサつかずおいしくいただけます。低温でじっくりと火を通すローストポークなどにも向いている部位です。

肩ロース

生姜焼き

肩ロースは豚の首から背中にかけての部分で、お肉本来の味が楽しめる部位です。赤身の中に脂が粗く混ざっているので、豚肉らしい深い旨味と脂のおいしさを同時に感じられます。赤身と脂身のバランスが整っていることから、食感を楽しめるのも嬉しいポイント。焼いても柔らかさを保てる一方、きちんと歯ごたえを感じられます。
肩ロースはバランスのいいお肉なので、幅広い料理に活用できます。焼く、煮る、ゆでるなどあらゆる調理法でおいしくいただけるため、常備しておくと安心できるでしょう。
肩ロースは、ビタミンB2が豊富に含まれているのも魅力です。ビタミンB2は糖質や脂質、タンパク質の代謝に必要な栄養素で、特に脂質の代謝を助けてくれます。脂質を分解してエネルギーに変える働きがあるため、普段脂っこい食事が多い人やダイエットをしている人も積極的に取り入れましょう。

  • 豚の旨みと食感を楽しめる
  • 脂身が多く濃厚な味わい
  • ビタミンB2が豊富
POPULAR RECIPES
とんかつやステーキ、生姜焼き、焼肉、ソテーなどさまざまな料理に適しています。また、煮込むとうま味成分が汁に溶け込むため、豚肉のジューシーさをより深く味わえます。
使用レシピ

“ゆめの大地”は、
肉質や旨味に
こだわった北海道産ブランド豚

豚肉はどの部位もおいしく栄養素も豊富ですが、部位ごとに適した調理をするとよりおいしくいただけます。また、部位ごとのおいしさの違いを明らかにするためには、質のいい豚肉を選ぶことも大切です。北海道産ブランド豚”ゆめの大地”は、遺伝形質にこだわっており深い旨味を感じられる豚肉。脂肪の旨味や甘みが強いので、豚肉のおいしさをより強く感じられます。
また、”ゆめの大地”は赤身のなかに脂が入るサシが特徴であり、冷めても柔らかい肉質なのもポイント。幅広い調理法で、豚肉のおいしさを感じることができます。

肉質の追求と旨味へのこだわり

豚肉そのものに焦点を当ててご紹介する「Porkology」。
今回は、各部位の特徴や含まれる栄養素、それぞれに適した料理などをご紹介しました。部位によって脂の多さや食感が違うため、適切な調理法も変わることがおわかりいただけたのではないでしょうか。さらに、部位によって豊富な栄養素が異なるのもポイント。ぜひ、スーパーやお肉屋さんで豚肉を購入するときに思い出してみてくださいね。
部位ごとの特徴をチェックすることで、豚肉の魅力を再発見していただけたら幸いです。豚肉をおいしく調理しながら存分に栄養を摂取できるよう、部位ごとの特徴を確認して日々の献立に取り入れてみてください。

次回は、ちょっとだけマニアックな部位をご紹介しますので、どうぞお楽しみに!!

Editor

editor-makita

牧田 淑美

MAKITA Yoshimi

管理​栄養士

中食会社の商品開発や特定保健指導などを経験。
豊富な管理栄養士としての現場経験の傍ら、コラム執筆や栄養計算に携わる。
健康課題のある方へのメニュー制作を得意とする。