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はこだてクリスマスファンタジー 函館ベイエリア、赤レンガ倉庫群と巨大ツリー
北海道の南西部に位置する函館。
北海道開拓以前から天然の良港として栄え、江戸時代末期、長らく鎖国状態にあった日本が、横浜や長崎と共に最初に開港した歴史ある港街です。
函館のシンボルとも言える函館山の裾野、街を見下ろす元町地区には、現在も旧イギリス領事館、ハリストス正教会(ロシア)、カトリック元町教会(フランス)、聖ヨハネ教会(イギリス)などが建ち並び、当時の面影を残しています。
日本がはじめて世界と交流する窓口となった函館のベイエリアで開催されているのが「はこだてクリスマスファンタジー」。
函館港に面した「金森倉庫」の前に、約15万個ものイルミネーションを身にまとった大きなツリーが設置され、毎年12月1日からクリスマス当日まで、函館市民や訪れる観光客を楽しませています。
INDEX
「金森倉庫」から「金森赤レンガ倉庫」へ
赤いレンガの倉庫群が地元のかた以外にも認知されるようになったのは1980年代後半ころ。それまでは明治時代から続く営業倉庫として使用されていました。長崎から輸入した舶来品を函館に持ち込み、当時まだ珍しかった西洋の品々を扱う洋物店としても繁盛していました。
しかし輸送形態の変化など時代の流れには逆らえず、倉庫業は下火に……。そんななか、偶然か運命か、その外観に注目が集まり始めます。CMやロケ撮影などで多く人々に認知されるようになったタイミングで経営陣は方向転換を決意。ショッピング施設を充実させ、観光施設として再出発を果たしたのでした。
巨大ツリーと花火のコラボレーションは一見の価値あり
地元のかたから観光客まで多くの人に愛され続けてきた「金森赤レンガ倉庫」ですが、クリスマスファンタジーが始まる12月にはより賑わいを見せます。特に見どころなのは18時に行なわれるツリー点灯。なんと毎日花火が上がるのです。それも1つだけで終了……ではなく、様々な形や色が用意され、目を見張る美しさ。カメラに収めたいという気持ちと肉眼で見たいという思いが葛藤することでしょう。
しかし花火を見逃してしまっても問題ありません。なぜならツリーだけでも十分見ごたえがあるから。赤や紫、緑に青、白……全体がじんわりと変化したり、部分的な切り替えとグラデーションが組み合わさったりとバリエーションが豊富で飽きが来ません。周辺ではクリスマスムードを高めてくれるBGMが流れており、寒さに屈しさえしなければいくらでも見ていたいくらいでした。
さらに1日3回(18:30、19:30、20:30)各15分間限定でツリーが赤一色になる「プレミアム レッドツリー」なんてものも! 赤く染まる瞬間は思わず「おお!」と声を漏らしてしまうほどの迫力。その一方で、枝に吊るされた星型オーナメントは黄色に、そしててっぺんの一番星は白色に。通常だとツリー全体のグラデーションに目がいきがちなので、星々の存在感を感じられるのも「プレミアム レッドツリー」の醍醐味かもしれません。
スープで身も心もほっこり
クリスマスファンタジーにはツリーの他にも様々なお楽しみが用意されているのですが、例年高い人気を誇っているのが「スープバー」です。
ツリーを正面に構えたメインストリートに出店が一列になって立ち並び、そのどこからも温かな匂いが漂ってきます。出店者は地元の飲食店のみなさん、かつ食材は地産地消を意識したものということで美味しさは折り紙付き。スープの定番コーンスープやスパイス香るスープカレー、ハンバーグが入ったボリューム満点スープなどバリエーションも豊富です。
また、お食事系だけでなくホットチョコレートやおしることいったスイーツ系もあるので、老若男女問わず、そして時間帯も問わず楽しむことができるでしょう。料金は一律700円なので、「何が食べたいか」という点にのみ意識を集中できるのも嬉しいポイントですよ。
ちなみに私はオニオングラタンスープをいただきましたが、冷え切った身体にオニオンの旨味がじんわり染み入り、得も言われぬ美味しさでした。ベーコンはスモーキーですし、直前にバーナーで焙られたチーズ付ラスクは香ばしく、スープが染みてふやふやになったところを“はふはふ”と食べるのも堪りません。最初はスプーンを袋から出すことすらできないほど凍えていたのですが、この一杯でずいぶん温まりました。
多くの企業協賛によって開催されるワクワクのイベント。
赤レンガ倉庫群の外壁には馬をモチーフにしたネオンライトが光っていたり、ツリーの手前にはシマウマやシロクマたちがくるくる回る小さなメリーゴーランドが収められたミニハウスが設置されていたりと、遊び心満載な仕掛けに思わず足が止まってしまいます。
このイベントは非常に多くの企業の協賛によって開催されていますが、これらのアイテムは特別協賛として参加しているJRA日本中央競馬会によるもの。
馬グッズが集まったターフィーショップも倉庫内に特別出展されており、同フロアの窓にはCGの馬たちが駆けていく様子が見られます。反射はしてしまうものの、室内からは窓越しにツリーと一緒に撮影することもできますよ。
また、2~3日にはポニー記念撮影会、そして7~10日には本物そっくりな馬ロボットの騎乗体験会が開催されていました。これらは既に終了してしまいましたが、22~25日に「CHRISTMAS PROJECTION MAPPING」というプロジェクションマッピングのショーが開催されます。なんと投影先はツリー! 開催時間は17:45分から5分間とのことなので、プロジェクションマッピングからの点灯&花火という豪華な二段重ねが楽しめます。
同時期開催の「はこだて冬フェスティバル」は、2月29日(木)まで
今回ご紹介の「はこだてクリスマスファンタジー」の開催は12月25日(月)が最終日ですが、同時期に開催される「はこだて冬フェスティバル」は2月29日(木)まで。
歴史情緒あふれる元町地区を中心に、各所がイルミネーションで飾られる「はこだてイルミネーション」をはじめ、2月の毎週日曜日に打ち上がる「はこだて冬花火」や「はこだてひかりのガーデン」など、まだまだ催し物が盛りだくさんです。
日本三大夜景として称えられる函館山の夜景と共に、冬の港街、函館を彩る数々のイベントを、是非楽しんで頂きたいと思います!
函館クリスマスファンタジー データ
開催期間 | 2023年12月1日(金)~2023年12月25日(月) |
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開催場所 | 赤レンガ倉庫群前海上 |
点灯時間 | 16:30から17:45と18:00から22:00 ※12/1は18:00からの点灯 |
花火打上 | 期間中毎日18時から ※風などの打ち上げ環境を見極めて、現場で実施可否を判断 |
プレミアムレッドツリー | 毎日18:30、19:30、20:30から約15分 |
スープバー | 12月1日(金)〜12月25日(月)16:30〜20:00 |
※2023年12月10日現在の情報です。
Editor
三谷 乃亜
MITANI Noa
エッセイスト
生まれも育ちも北海道。食べることが好きで、スイーツ・パン・かぼちゃには目がない。特にかぼちゃへの想いが強く、シーズン中は飽きられないような調理法を模索しつつ、山吹色を食卓にねじ込み続けている。
北海道デジタル絵本コンテストにて、優秀賞(第1回)と特別賞(第2回)を受賞(共に作話担当)。